貿易及びそれに伴う輸出入は、輸入食品や日本メーカーの海外生産品等から身近に感じられ、今や日常生活に不可欠なものでありインフラとさえ言えるものですよね。

しかし、いざ自分が貿易や輸出入に関わると、なかなか思い通りに行かず戸惑うことはないでしょうか? 一方、前向きに貿易や輸出入の学習を始めても意外と学習範囲が広く内容も難しく、長続きせず途方に暮れたことはないでしょうか? 更に、積極的に貿易や輸出入の研修等に参加しても、自分が行う貿易実務とどう関係するのか接点を見出せず、不甲斐ない思いをしたことはないでしょうか? 特に、貿易や輸出入が初めてという人たちにとっては、そのようなことのオンパレードではないでしょうか?

実際、私はそうでした。仕事で貿易や輸出入に関わり初めた頃、輸入の手配を国際輸送業者へ依頼した際、輸入貨物の書類がなぜかBLとパッキングリストしかなくインボイスを求められました。私の手元にはなかったので上司へ相談したところ「いつもパッキングリストで輸入してるからそう伝えろ。」との返事があり、そのように業者へ伝えたところ「輸入通関にはインボイスが必要で。。。」と丁寧な説明を受けました。再び上司へ相談したところ「このパッキングリストで輸入できんというなら業者変えて手配しろ。」との返事で、奇妙というか微妙というかそういう雰囲気の中、結局業者を変えて手配を終えました。もちろんインボイスは必要でした。そして、後からこの件を思い出してみると、分かる人には分かると思いますが、なんと非常識な事をしていたのかと情けない気持ちになりました。しかし、当時の私には何が正しくてそうでないかの判断が付かず、国際輸送業者や上司の感情的な雰囲気だけは感じ取れたので、自分の無力さを感じると共に不甲斐ない思いだけがありました。

そのような背景には、主に次の2つのことが挙げられると思います。

一つは、貿易や輸出入は義務教育や高等教育で正式に学ばないことがあります。専門学校や大学等で専門的に学べる機会はありますが、それ程多くありません。私も含めて皆さん、社会に出て就職し、貿易や輸出入に関わる仕事に携わり初めて貿易や輸出入というものに出会います。しかも、ちゃんとした教育プログラムがある訳でもなく、先輩や上司から業務の中で教えて貰ったり、自学自習で身に付けていくことがほとんどです。

もう一つは、貿易や輸出入はその内容の幅が広く且つ奥が深いことがあります。その内容を理解するのに時間が掛かることは当然ですが、知識の習得だけではなく経験も伴わないとなかなか理解が深まりません。それは例えるならば、山登りをするようなものであると言えます。山登りでは、麓にいた時には手前の景色しか見えませんが、中腹まで登ると麓を見下ろし遠くの景色を見渡せるようになり、ようやく頂上まで登り詰めると360度パノラマの全景が見渡せるようになります。同じ様に、貿易や輸出入に関わり始めた頃は目に付く専門用語に四苦八苦しますが、しばらく学習を続け経験を重ねると専門用語にも慣れ、貿易や輸出入における一つ一つの手続きとその流れが分かって来、あきらめず学習を続け更に経験を積み重ねていくとこれまで一つ一つ理解してきたことがパズルのように有機的に繋がり、貿易や輸出入全体のしくみとその流れが目の前の絵に描いたように分かるようになります。そのくらい貿易や輸出入はその内容の幅が広く且つ奥が深いと言えます。

 さて、貿易や輸出入が難しい実態に変わりはありませんが、そのような中でも、貿易や輸出入が難しいという感覚や先入観を取り除く方法があります。それは、“貿易や輸出入は欧米圏の商取引であるという事実を受け入れることです。現在の貿易や輸出入の仕組みの基は、主に15世紀頃の欧米の大航海時代より始まり徐々に築かれたもので、その考え方やルールが日本人である私達には馴染みが薄く直感的に受け入れ難いものが多くあります。そこでまずは、“貿易や輸出入は欧米圏の商取引である”という事実を受け入れてしまうことで、貿易や輸出入が難しいという感覚や先入観が取り除かれ「貿易や輸出入はそういうものなんだ。」と受け入れ易くなるでしょう。

一方で、私が職務として貿易や輸出入に取り組み、上述の様に戸惑う人や途方に暮れる人、不甲斐ない思いをする人達と出会い、その人達の疑問や問題を解決していく中で、それらの疑問や問題が生じる原因が概ね“貿易や輸出入の本質的理解の不足”であることに辿り着きました。しかし、それは出会った人達の不勉強を責めている訳ではありません。世の中に貿易や輸出入についての教育や書籍が一定数あるにもかかわらず、貿易や輸出入の本質的理解を促す教育や書籍が不足している現状を訴えています。そして、その現状を打破すべくなんとか貿易や輸出入の本質的情報を提供できないかと試行錯誤の上、一つの解決策として浅学菲才を省みず本ブログを立ち上げました。

まず、”貿易や輸出入の本質的情報”の一つに、”貿易や輸出入は欧米圏の商取引である”ことが挙げられますが、貿易や輸出入を分かりやすく紹介すること一つに努め、本ブログが皆様の貿易や輸出入への取り組みの一助となることを切に願うと共にご批判等いただければ幸いです。

klcc_whale

2010年4月1日
ありしか貿易研究所 所長 有鹿