< 目次 >
(1)貿易取引とは
(2)貿易取引は国外取引
(3)貿易取引の3つの形態


(1)貿易取引とは

 そもそも“貿易取引(ぼうえきとりひき)”とはどういう意味でしょうか? 「今さら貿易取引なんて……」という声も聞こえなくもありませんが、改めてその言葉の意味を見てみましょう。尚、”貿易取引”は省略して“貿易”と呼ぶ場合もあります。

貿易
 貿易(ぼうえき、英: international trade、英: trade)とは、ある国(またはそれに準ずる地域)と別の国(同)との間で行なわれる商品の売買のことをいう。商品を外国に対して送り出す取引を輸出、外国から導入する取引を輸入という。通常は、形のある商品(財貨)の取引を指すが、サービス貿易や技術貿易のように無形物の取引を含める場合もある。
(出典:ウィキペディア ”貿易”)

ということで、“貿易取引(貿易)”とは、“ある国(又はそれに準ずる地域)と別の国(又はそれに準ずる地域)との間で行なわれる商品の売買“ということですね。もう少し詳しく言うと、”ある国の売手と別の国の買手との間で行われる物品売買”ということですね。それをイメージ図にしてみると、次のようになります。

bouekitorihiki

実際には、ある国の売手と別の国の買手との間で物品の売買契約を結びその契約通りに取引を行うことになりますが、それを平たい言葉で言うと、ある国の売手と別の国の買手との間でモノの売り買いの約束をしてその約束通りに事を進めることになりますね。それは、例えるなら、次のような商店街での八百屋のおじさんと買い物に来た奥さんとのやりとりのようなものです。

  • 八百屋:へぃ、らっしゃい! 何にしやしょう?
  • 奥さん:今日は旬の野菜が欲しいんだけど。。。
  • 八百屋:それなら、きゅうりやナスが旬でお買い得ですよ。きゅうりが150円で、ナスが200円。
  • 奥さん:じゃあ、両方買うから300円にならない?
  • 八百屋:いゃ~奥さん、買い方が上手いですな。オッケー、300円にしとこう!
  • 奥さん:やったー、はい、300円!

というふうに、八百屋のおじさんと買い物に来た奥さんとの間で、“両方買うから300円 → オッケー”と約束をしてその約束通りに事を進めていますが、同じようにモノの売り買いの約束をして約束通りに事を進めるのを、ある国の売手と別の国の買手との間で行うことを“貿易取引”と言います。


(2)貿易取引は国外取引

 しかし、モノの売り買いの約束をして約束通りに事を進めることを、ある国の売手と別の国の買手との間で行うがゆえに、それが難しいんですよね。なぜなら、“貿易取引”は、当然ながら日本国内における国内取引ではなく、海外の取引相手との国外取引であるため、そこに国内取引にはない難しさがあるんですよね。その貿易取引(国外取引)と国内取引との違いについて、次のように紹介されています。

国内取引との違い
 01 国が違う
 02 取引通貨が違う
 03 取引相手が見えづらい
 04 輸送距離が長い
 05 商品受取と代金支払いに時間差がある
(出典:日本貿易振興機構(ジェトロ)ウェブサイト “国内取引との違い”)

1つ目の”国が違う”というのは当然ですよね。2つ目の”取引通貨が違う”というのも当然と言えば当然ですね。3つ目の”取引相手が見えづらい”というのは、売手と買手が実際に会って売買契約を結ぶことができれば問題ありませんが、渡航費用等の点からなかなかそうもいかない場合も多いので、やはり”取引相手が見えづらい”ということがありますよね。4つ目の”輸送距離が長い”というのは、日本を起点に考えると、アジア圏であれば最近は国内輸送とあまり大差ない輸送日数となっていますが、欧州や米州圏だとやはりそれ相応の輸送日数がかかりますよね。最後の5つ目の”商品受取と代金支払いに時間差がある”というのも、商品受取前に代金を支払うか、商品受取後に代金を支払うかという点は別にしても、商品と代金をほぼ時間差なく交換することはやはり難しいですよね。

そのような違いから、実際、貿易取引では、国内取引では求められない書類や手続きが必要となり、国内取引では考えられない難しさを感じるのですよね。例えるなら、国内旅行では、手配準備に係る各種手続きが比較的容易であるのに対して、海外旅行では、出入国手続きをはじめ各種手続きが煩雑な上、両替はどこでした方が良いか、時差はどのくらいか、渡航先の国で注意しなければならない法律や習慣は何か等、手配準備しなければならない事柄が多く難しいようなものですね。

また一方で、”貿易取引”にかかわると必然的に”輸出”や”輸入”にかかわることになりますが、”貿易取引”と”輸出入”にはどのような関係があるのでしょうか? 上で紹介した”貿易取引(貿易)”の言葉の意味をもう一度見てみましょう。

貿易
 貿易(ぼうえき、英: international trade、英: trade)とは、ある国(またはそれに準ずる地域)と別の国(同)との間で行なわれる商品の売買のことをいう。商品を外国に対して送り出す取引を輸出、外国から導入する取引を輸入という。通常は、形のある商品(財貨)の取引を指すが、サービス貿易や技術貿易のように無形物の取引を含める場合もある。
(出典:ウィキペディア ”貿易”)

よく見ると、”商品を外国に対して送り出す取引を輸出、外国から導入する取引を輸入という”とありますね。その通りなのですが、もう少し詳しく言うと、ある国の売手から別の国の買手に物品を売る貿易取引のことを“輸出”といい、別の国の買手がある国の売手から物品を買う貿易取引のことを“輸入”といいます。それをイメージ図にすると、次のようになります。

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(3)貿易取引の3つの形態

 貿易取引とは、ある国の売手と別の国の買手との物品売買のことでありますが、その貿易取引の形態は、単にある国の売手と別の国の買手との物品売買というシンプルな形態だけではなく、大きく分けて3つ、”直接貿易”と”間接貿易”、”三国間貿易”の形態があるとされています。それについて説明されたものがありますので紹介します。

貿易取引の形態とは
 貿易取引には、大きくは直接貿易と間接貿易、それに三国間貿易の形態があります。
  貿易取引の形態
  • 直接貿易 … 直接貿易とは、商社などの仲介業者を通さずに、売手と買手が直接契約を交わす貿易取引のことです。仲介業者を通さないことでコストの削減ができますが、その反面で貿易取引にかかわるリスクと諸手続きの手間を抱えます。
  • 間接貿易 … 間接貿易とは、商社などの仲介業者が輸出入契約の当事者となる貿易取引のことです。間接貿易で商社が日本企業の場合は、商社との取引は国内取引となります。貿易のノウハウを持った商社を介することで、リスクや事務手続きを軽減できますが、商社に支払う手数料がかかります。
  • 三国間貿易 … 三国間貿易とは、たとえば外国のA国とB国の輸出入貿易を日本の商社が仲介する取引のことです。三国間貿易はそのしくみから、必然的に間接貿易となります。
(出典:かんき出版 “はじめての人の貿易 入門塾“)

”直接貿易”とは、”売手と買手が直接契約を交わす貿易取引”のことで、それをイメージ図にすると、次のようになります。

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そして、”間接貿易”とは、”商社などの仲介業者が輸出入契約の当事者となる貿易取引”のことで、それをイメージ図にすると、次のようになります。

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最後に、”三国間貿易”とは、”たとえば外国のA国とB国の輸出入貿易を日本の商社が仲介する取引”のことで、“仲介貿易”と呼ばれることもありますが、それをイメージ図にすると、次のようになります。

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以上が、貿易取引の主な3つの取引形態ですが、これらの取引形態を見分けるコツは、まずは誰が貿易取引における売手で誰が貿易取引における買手であるかを把握することです。その理由は簡単で、貿易取引はある国の売手と別の国の買手との間で行われる物品売買なので、かなり複雑な取引形態であっても、売手と買手を把握しその関係性が分かれば、同時に3つの取引形態のどれに当てはまるかが分かります。


[ まとめ ]
  • 貿易取引とは、ある国の売手と別の国の買手との間で行われる物品売買のこと。
    平たく言うと、ある国の売手と別の国の買手との間でモノの売り買いの約束をしてその約束通りに事を進めること。
  • 貿易取引は、日本国内における国内取引ではなく海外の取引相手との国外取引であるため、そこに国内取引にはない難しさがある。
    ある国の売手から別の国の買手に物品を売る貿易取引のことを“輸出”、別の国の買手がある国の売手から物品を買う貿易取引のことを“輸入”という。
  • 貿易取引には、大きく分けて3つ、”直接貿易”と”間接貿易”、”三国間貿易”の形態がある。


以上



= 参考書籍 =

”はじめての人の貿易入門塾”(かんき出版)

はじめての人の貿易入門塾<改訂2版>