< 目次 >
(1)他法令
(2)輸出に関する他法令
(3)輸入に関する他法令


(1)他法令

 “他法令”とは“たほうれい”と読みますが、あまり馴染みのない言葉かと思います。そこで、言葉の意味から紹介したいと思いますが、“他法令”とは通称で、正式には“関税関係法令以外の法令”のことをいいます。尚、“関税関係法令”とは、関税法や関税定率法、関税暫定措置法のことをいい、それら以外の法令のことを、“他法令”といいます。税関のホームページでは次のように紹介されています。

5501 税関で確認する輸出関係他法令の概要(カスタムスアンサー)
 特定の貨物の輸出については、関税関係法令以外の法令により、許可、承認等が必要なものがあります。これらの法令の規制は、関税法の輸出の許可制と結びつけてその実効性が確保されることとなっています。したがって、貨物を輸出する場合、関税関係法令以外の法令により、輸出に関して許可・承認等を必要とする場合には、これらの他の法令の規定に基づいて許可・承認等を受けて、輸出申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸出は許可されません。(関税法第70条、関税法基本通達70-1-1)

1801 税関で確認する輸入関係他法令の概要(カスタムスアンサー)
  外国から輸入される貨物のなかには、我が国の経済、保健衛生又は公安風俗などに悪影響を及ぼす場合があり、これらの貨物については、それぞれの国内法令によって輸入の規制が行われています。
 これらの法令の規制は、関税法の輸入の許可制と結びつけてその実効性が確保されることとなっています。
 したがって、貨物を輸入しようとする場合において、関税関係法令以外の法令により輸入に関して許可、承認等を必要とする場合には、これら他の法令の規定に基づいて許可、承認等を受けて、輸入申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸入は許可されません。
 なお、法令の規定によっては、外国の政府機関等の証明等を取得していないと許可、承認が受けられないものもありますので、事前にこれらのことについて調べておく必要があります。(関税法第70条、関税法基本通達70-3-1)
(出典:税関ウェブサイト)

では、その“他法令”が、どのように貿易に関係するのでしょうか? 税関や関税法という言葉が出て来ましたので、通関手続きに関係するのかな?と思った人は勘の鋭い人ですね。 次から説明していきましょう。


(2)輸出に関する他法令

 ここでは、輸出関する他法令について紹介したいと思いますが、先程紹介した税関ウェブサイトの内容をもう一度見てみましょう。

5501 税関で確認する輸出関係他法令の概要(カスタムスアンサー)
 特定の貨物の輸出については、関税関係法令以外の法令により、許可、承認等が必要なものがあります。これらの法令の規制は、関税法の輸出の許可制と結びつけてその実効性が確保されることとなっています。したがって、貨物を輸出する場合、関税関係法令以外の法令により、輸出に関して許可・承認等を必要とする場合には、これらの他の法令の規定に基づいて許可・承認等を受けて、輸出申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸出は許可されません。(関税法第70条、関税法基本通達70-1-1)
(出典:税関ウェブサイト “税関で確認する輸出関係他法令の概要”)

下線部分をよく見ると、“他法令”が輸出申告(輸出通関手続き)に関係していることが分かりますね。では、ここでもう一度、輸出通関手続き(3-1.通関手続き)についておさらいしておきましょう。

輸出通関手続き …… 貿易において、貨物を輸出しようとする者が、税関官署に対して、貨物の内容(品名、種類、数量、価格などに関する事項)を申告し、必要な検査等を受けて、税関から輸出の許可を受ける手続き
(中略)
それをイメージ図にすると、次のような感じになります。

 3-1 yushutsutsukan yunyutsukan

輸出通関手続きの手順としては、
① 貨物の内容を申告
② 必要な検査等を受ける
③ 輸出の許可を受ける
という3ステップの手順となっていますね。

そこで、輸出に関する他法令についての税関ウェブサイトの内容に戻ると、“貨物を輸出する場合、関税関係法令以外の法令により、輸出に関して許可・承認等を必要とする場合には、これらの他の法令の規定に基づいて許可・承認等を受けて、輸出申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸出は許可されません”とあり、

輸出通関手続きの手順に、以下の①’が増えて、
① 貨物の内容を申告
①' 関税関係法令以外の法令により、輸出に関して許可・承認等を必要とする場合には、これらの他の法令の規定に基づいて許可・承認等を受ける
③ 必要な検査等を受ける
④ 輸出の許可を受ける
という4ステップの手順となることが分かりますね。

つまり、貨物を輸出する場合、輸出通関手続きをして、関税関係法令における許可を受けなければ輸出ができませんが、その貨物が関税関係法令以外の法令(他法令)における許可等が必要な場合は、まず他法令における許可等を受けていないと、関税関係法令における許可を受けられない、ということです。イメージ図にすると、次のようなものになります。

exp_tahourei

具体例を挙げるとするならば、ワシントン条約で絶滅の恐れのある野生動植物として規制されている象牙があります。規制に該当する象牙を輸出する際には、まずは該当法令である“外国為替及び外国貿易法”における輸出の許可等を該当省庁である“経済産業省”より受ける必要があります。一方、税関は、“経済産業省”からの“外国為替及び外国貿易法”における輸出の許可等がなければ、輸出通関手続き自体を進めることができません。

そのように、関税関係法令以外の法令(他法令)により、輸出に関して許可・承認等を必要とするものは、次のように挙げられています。

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(出典:税関ウェブサイト “税関で確認する輸出関係他法令の概要”)


(3)輸入に関する他法令

 輸入に関する他法令についても、輸出関する他法令における考え方と全く同じです。先程紹介した税関ウェブサイトの内容をもう一度見てみましょう。

1801 税関で確認する輸入関係他法令の概要(カスタムスアンサー)
  外国から輸入される貨物のなかには、我が国の経済、保健衛生又は公安風俗などに悪影響を及ぼす場合があり、これらの貨物については、それぞれの国内法令によって輸入の規制が行われています。
 これらの法令の規制は、関税法の輸入の許可制と結びつけてその実効性が確保されることとなっています。
 したがって、貨物を輸入しようとする場合において、関税関係法令以外の法令により輸入に関して許可、承認等を必要とする場合には、これら他の法令の規定に基づいて許可、承認等を受けて、輸入申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸入は許可されません。
 なお、法令の規定によっては、外国の政府機関等の証明等を取得していないと許可、承認が受けられないものもありますので、事前にこれらのことについて調べておく必要があります。(関税法第70条、関税法基本通達70-3-1)
(出典:税関ウェブサイト “税関で確認する輸入関係他法令の概要”)

下線部分をよく見ると、“他法令”が輸入申告(輸入通関手続き)に関係していることが分かりますね。では、ここでもう一度、輸入通関手続き(3-1.通関手続き)についておさらいしておきましょう。

輸入通関手続き …… 貿易において、貨物を輸入しようとする者が、税関官署に対して、貨物の内容(品名、種類、数量、価格などに関する事項)を申告し、必要な検査を受け、関税など必要な税金を納入し、税関から輸入の許可を受ける手続き
それをイメージ図にすると、次のような感じになります。

3-1 yushutsutsukan yunyutsukan

輸入通関手続きの手順としては、
① 貨物の内容を申告
② 必要な検査等を受け、関税など必要な税金を納入
③ 輸入の許可を受ける
という3ステップの手順となっていますね。

そこで、輸入に関する他法令についての税関ウェブサイトの内容に戻ると、“貨物を輸入しようとする場合において、関税関係法令以外の法令により輸入に関して許可、承認等を必要とする場合には、これら他の法令の規定に基づいて許可、承認等を受けて、輸入申告又は当該申告に係る審査又は検査の際にその旨を税関に証明して確認を受けなければ輸入は許可されません”とあり、

輸入通関手続きの手順に、以下の①’が増えて、
① 貨物の内容を申告
①' 関税関係法令以外の法令により輸入に関して許可、承認等を必要とする場合には、これら他の法令の規定に基づいて許可、承認等を受ける
② 必要な検査等を受け、関税など必要な税金を納入
③ 輸入の許可を受ける
という4ステップの手順となることが分かりますね。

つまり、貨物を輸入する場合、輸入通関手続きをして、関税関係法令における許可を受けなければ輸入ができませんが、その貨物が関税関係法令以外の法令(他法令)における許可等が必要な場合は、まず他法令における許可等を受けていないと、関税関係法令における許可を受けられない、ということです。イメージ図にすると、次のようなものになります。

imp_tahourei

具体例を挙げるとするならば、医薬品、医療機器等に関する法律で規制されている外国の薬があります。規制に該当する薬を輸入する際には、まずは該当法令である“医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律”における輸入の許可等を該当省庁である“厚生労働省”より受ける必要があります。一方、税関は、“厚生労働省”からの“医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律”における輸出の許可等がなければ、輸入通関手続き自体を進めることができません。

そのように、関税関係法令以外の法令(他法令)により、輸入に関して許可・承認等を必要とするものは、次のように挙げられています。

 imp_tahourei_table


[ まとめ ]
  • “他法令”とは通称で、正式には“関税関係法令以外の法令”のこと
    関税法や関税定率法、関税暫定措置法のことをいい、それら以外の法令のことを、“他法令”という
  • 貨物を輸出する場合、輸出通関手続きをして、関税関係法令における許可を受けなければ輸出ができませんが、その貨物が関税関係法令以外の法令(他法令)における許可等が必要な場合は、まず他法令における許可等を受けていないと、関税関係法令における許可を受けられない
  • 貨物を輸入する場合、輸入通関手続きをして、関税関係法令における許可を受けなければ輸入ができませんが、その貨物が関税関係法令以外の法令(他法令)における許可等が必要な場合は、まず他法令における許可等を受けていないと、関税関係法令における許可を受けられない


以上